上高地の田代池です。小さな池ですが、ここの輝きは別格、別ものです。これを見たくて上高地を訪れると言っても過言ではありません。暑さを忘れさせてくれます。
ブルー・ミッチェルは1979年に49才の若さでこの世を去っている。同じトランペッターのドーハムも若くして48才で亡くなっており、つくづくこの世の儚さを感じてしまう。ミッチェルは1958年に初リーダー作”BIG 6”をRIVERSIDEに吹き込み、それ以来、20年間あまりのキャリアの内に、ざっくり言うと、意外?にも30枚近いリーダー作を録音している。均せば、2年に3枚と決して少なくない。
(MAINSTREAM MRL 315)
しかしながら、RIVERSIDEの7枚とBLUE NOTEの8枚(後年、発表された1枚含む)の前半を除くと、記憶もかなり怪しくなるのも事実。H・シルバー・クィンテットのイメージが強いせいなのか、”BLUE'S MOODS”の超人気ぶりなのか、66年の‘BRING IT HOME TO ME’(BN 4228)以降のミッチェルの活動を気にするファンはそれほど多くないであろう。かく言う自分にしても、BN後期のビッグ・コンボものでは‘BOSS HORN’(4257)での憂いを含んだ‘I Should Care’のソロや思いの外、tpの鳴りを聴かせる‘HEADS UP’(4272)辺りが思い出せる程度である。
この作品は、1971年の初めにミッチェルが新たに結成したクィンテットによるMAINSTREAMレーベルに吹き込んだ第1作目。ゲート・ホールドのアルバム・カヴァにしては些かチープな印象を与えるせいか、クズ盤コーナーにクズ値で眠らされていた。不憫に思ったと同時に収録曲のゴルソンの名曲‘Are You Real’を見つけ、ひょっとして?という微かな期待で拾ってきたブツ。メンバーもなかなかの兵揃いで、しかもスモール・コンボも決め手になっている。
イャー、これはチョットした掘出し物です。兎に角、tpの鳴りぷりがイイ。以前のようなやや型にはまったというか、小振りなソロ・ワークから自由自在感を増している。それに時代性もしっかり表現している。それは、明らかにハバードの影響を受けている、というよりむしろミッチェル自身が積極的にハバードの奏法を取り入れているのだろう。
例えばTOPのヒップ・ソウルな‘Soul Village’や2曲目の妻に捧げたストレート・アヘッドなブルース・ナンバー‘Blues For Thelma’、ラテン・フレーバーを効かしたスリリングな‘Mi Hermano’での吹き上げ方など、一聴、ハバードと聴き間違える程である。まぁ、スピード感、シャープさでは一歩譲るとしても、とてもイイ感じです。それと引き締まったトーンでワイルドに迫るフォレストのtsも聴きもの。‘Are You Real’ではボサ・ロックのリズムにズレを生じさせながら、彼流のノリで一気に押し切り、これがまたイイんだなぁ。また、ビショップのノリノリ・ソロも実に楽しい。
そのビショップは‘Soul Village’、‘Mi Hermano’でハンコックもどきのエレピを聴かせ、他の曲でもクセ者ぶりを十分発揮している。
見過ごしがちな作品ですが、クズ盤扱いは勿体ないと思います。